羽のように舞い上がって
俺の甘い声にも何も動じないとは、扱いづらい。
「真子、船戸くんとどういう関係?」
彼女の友達は、かなり興味深々に真子ちゃんに話しかけている。
「別にどういう関係でもないよ」
彼女は、いらいらした調子で友達に言った。
「でも、あんなに甘い声で話しかけてもらってるって羨ましい!」
彼女の友達は、かなり目をきらきらさせている。
「えっ? すごくしつこいよ?」
彼女が言うと、友達は更に目を光らせて、
「いいなぁ。何も話しかけられないよりいいよ!」
と言った。
「いや、絶対話しかけられない方がいいって!」
彼女の友達は、俺の声に反応するだろうが、肝心の彼女はときめこうとしない。
……いや、待てよ。
前に話しかけてみたところ、一瞬、彼女はときめきそうになっていた。
彼女は、その後すぐに「そんな甘い声出さないでよ!」と怒っていたけれど。
もしかしたら、きっと後1歩なのだろうか。