羽のように舞い上がって
教室に入ると、なぜか俺は同じクラスの井上 礼央(いのうえ れお)にガン見されていた。
「おい、淳也。お前、春瀬が好きなの?」
突然、礼央に言われて、俺は面食らった。
「確かに、ああいう白い子猫みたいな容姿してるから、お前が好きになるのも分かるな」
「白い子猫?」
「えっ、お前そう思わねえの?」
そう思う奴初めて見た、というような顔で言われ、俺はとっさに、
「えっ、じゃあお前はそう思うの?」
と、聞いた。
「思うというか、俺さ、春瀬と小6の頃同じクラスだったけど、みんなから『うちのクラスの子猫ちゃん』とか言われてたし」
うちのクラスの子猫ちゃん、か。
まあ確かに言われてみれば、分かる気がする。
彼女は、背が低くて真っ白な肌をしていて、小さな白猫というイメージにぴったりだ。
「ふーん。てか、お前も好きなのか?」
「俺は違うけど、結構むずいぞ。小6の時さ、顔がいいのか、意外と人気高かったけど、全員振られてたし」
彼女は、恋愛などに全く興味がない、意外とクールな性格をしているのだろうか。
彼女をターゲットにすると、色々と難しいところが多い。
けれども、彼女は可愛いところがあったり、クールなところがあったりと、ギャップがあって、悪くはない。