羽のように舞い上がって
翌日。
わたしは、目にしたくないものをしてしまった。
昨日の、変なことを言っていた人。
なんでよりによって、2日連続あの顔を拝まないといけないのよぉ。
朝から気分最悪!
相手が、わたしに気づいたらもう最悪どころじゃない。
わたしは、ささっと動き出して、彼の瞳に映らない場所へ移動しようとした。
「あれ?」
昨日の彼の声と、全く同じ。
わたしは、恐る恐る振り返ってみた。
「昨日、靴の左右を間違えてた……」
結局、気づかれちゃったじゃん。
はい、もう最悪以下。
「お、おはよう……ございます……」
おはようも言わず、彼はわたしの靴をしげしげと見つめた。
「今日は反対じゃないみたいだね」
「昨日はありがとうございました」
わたしは淡々と早口で言ってから、教室へと向かった。
「ちょっと待ってよー」
「すみません。時間がないんです」
やんわりと優しく答える必要なんてない。今のように、ストレートで言っておけば、向こうだっていずれ諦めるだろう。