144本のバラの花束を君に
水木静音(みずきしずね)は、走り出したい衝動を懸命に堪える。胸はドキドキと高鳴り、浮き足立っている。
「そんなにソワソワされて、どうされました?」
空港の税関職員が首を傾げながら訊ねる。職員は微笑んでいるが、その目は鋭い光を放っている。静音は怪しまれているのだと理解し、慌てて深呼吸をして落ち着きを取り戻す。
「イギリスにいる恋人に会いに来たんです。直接会うのは二年ぶりで……」
静音は、休暇を利用してイギリスに旅行に来た。イギリスに来るのは、留学して以来だ。
静音はスマホで撮った写真を見せた。金髪に緑の目の男性。一緒に写っている静音は笑顔だが、男性は恥ずかしそうにしている。
「素敵な写真ね」
職員が微笑む。その顔はもう静音を疑っていないことを物語っている。
「ありがとうございます。彼はシャイな性格ですが、とても素敵な人なんです」
静音は職員が笑ってくれたことに安心し、そう言った。
「楽しんでくださいね!」
「はい!ありがとうございます!」
職員に頭を下げ、静音はミントグリーンのスーツケースを押しながら早足で歩く。辺りを見回し、空港に来てくれているはずの彼の姿を静音は一生懸命探す。
「そんなにソワソワされて、どうされました?」
空港の税関職員が首を傾げながら訊ねる。職員は微笑んでいるが、その目は鋭い光を放っている。静音は怪しまれているのだと理解し、慌てて深呼吸をして落ち着きを取り戻す。
「イギリスにいる恋人に会いに来たんです。直接会うのは二年ぶりで……」
静音は、休暇を利用してイギリスに旅行に来た。イギリスに来るのは、留学して以来だ。
静音はスマホで撮った写真を見せた。金髪に緑の目の男性。一緒に写っている静音は笑顔だが、男性は恥ずかしそうにしている。
「素敵な写真ね」
職員が微笑む。その顔はもう静音を疑っていないことを物語っている。
「ありがとうございます。彼はシャイな性格ですが、とても素敵な人なんです」
静音は職員が笑ってくれたことに安心し、そう言った。
「楽しんでくださいね!」
「はい!ありがとうございます!」
職員に頭を下げ、静音はミントグリーンのスーツケースを押しながら早足で歩く。辺りを見回し、空港に来てくれているはずの彼の姿を静音は一生懸命探す。
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