144本のバラの花束を君に
「ありがとう。でも、昨日の夕食を用意してくれたのに悪いわ」

昨日の夕食は、エリックが全部用意してくれた。とてもおいしいビーフシチューとサラダをエリックは作ってくれて、静音はエリックが料理ができることに驚く。さらに、デザートにプリンを用意してくれていたのだからもっと驚いた。

静音が留学していた頃、静音がシフォンケーキなど料理を振る舞ったことはあるが、逆は初めてだったからだ。

「……わかった。でも、なんかあったら……」

ちゃんと言えよ、と早口で顔を赤くして言い、エリックは椅子に座って新聞を読み始める。静音は「わかったわ」と言い、朝ごはんを作った。

静音の作った朝ごはんに、エリックは「日本食だ!!」と目を輝かせる。

「口に合うかはわからないけど……」

静音は急に心配になってきた。洋食の方がよかったのかしら、と不安になったがエリックは静音の作った朝ごはんをもぐもぐと食べている。

「Delicious!(おいしい!)」

大好物を食べている子どものような純粋な目で見つめられ、静音は胸を高鳴らせながら「Thank you (ありがとう)」と笑った。
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