彼の愛した女(ひと)は?
5章
それから数日後。
静流は柊と会えると待ち遠しくて仕方なかった。
だが、柊と連絡が取れなくなっていた。
電話をしても出ない柊。
メールをしても返事がない。
病院に様子を見に行っても、柊の姿はなかった。
何度連絡しても繋がらない柊。
約束の週末も過ぎてしまって、どうしたのか静流は心配になってきた。
柊の家は知らないし。
電話しても病院に行っても姿が見えない。
何かあったのだろうか?
2週間後。
柊と連絡が取れないままの静流は、とても心配して夜もあまり眠れない日々が続いていた。
顔色が悪い静流を心配して、順子は思い切ってミルが柊を脅していた現場を見た事は話すことにした。
「先生ちょっと、いいですか? 」
今日はミルは子供が熱を出して休んでいた。
ミルが居ない今日はチャンスだと順子は思った。
「どうかしたの? 」
「先生、この頃顔色が良くないのは。誰かを心配しているからでしょう? 」
「あ、まぁ・・・」
「先生が心配している人って、光友総合病院の東條先生? 」
「え? 」
ギクッと赤くなる静流を見て、順子はやっぱりと思った。