彼の愛した女(ひと)は?
 
 リビングも広くてキッチンも広い柊の家。


 部屋数も多く、今は柊と護で暮らしていて部屋数も余っているくらい。


 夜景が綺麗で、護との話しもすっかり弾んでしまって。


 気づけば深夜を回っていた。

「おやおや、こんな時間になってしまったね。静流君、今夜は泊まって行っていいよ」

「え? 」

 少し驚いて静流は柊を見た。

 柊も驚いた目をして俯いた。


「遠慮しているのかい? 私は、大歓迎していると言ってじゃないか。全然構わないんだよ。明日は仕事かい? 」

「いえ、明日は休みですが・・・」

「柊は? 」

「私も休みです」

「じゃあ問題ないじゃないか。泊まって行きなさい」


 突然来て、初めてなのに泊まって行くように言われて、静流は戸惑ったが。

 護も認めてくれているなら、その気持ちに甘えようと思った。




 
 護は開いている部屋を静流が泊まれるように準備してくれた。

 柊の兄亨輔(きょうすけ)が使っていた部屋を使ってくれと言われた静流。


 難しい本が沢山本棚にある。

 ベッドは広くて、真新しいシーツがしいてある。

 枕のカバーも新しくて、お香のようなふんわりと良い香りがする。


 まどのカーテンを開けると、素敵な夜景が見える。


 タワーマンションの最上階は、夢のような世界に思えた静流。





 お風呂も済ませて寝る準備をしていた静流。

 爽やかなブルー系のシルクのパジャマを用意されて、今まで着たことがないパジャマに少しだけ緊張している静流。



 時間は深夜1時を回っていた。

 護はぐっすり眠っている。


 静流もそろそろ寝ようと思った。

 しかし・・・

 何故か柊に事が気になった。

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