彼の愛した女(ひと)は?

「養女に引き取られたので。色々、助けて頂いていました」

「そうだったの。でも、想い続けていた静流と出会えたなんて、とってもロマンチックね」

 
 静香はすっかり柊の事を気に入ったようだ。

 そんな2人を見て、静流はほっとした。


 その後。

 静香に、柊が零から心臓を受け取った事を話した。

 何も知らずに静流は柊と出会った。

 父・清流のお墓も大切に守ってくれていて、零のお墓も守っていてくれた柊。


 その話を聞くと、静香は感動して泣き出してしまった。


 何もかもが嬉しくて、本当に柊に出会えてよかったと静流は思えた。



 療養施設を後にして。

 静流は柊を自宅に招いた。

 双方の両親公認だから、ちゃんと家にも入ってほしいと静流が言った。


 
 事務所の奥が自宅になっている静流の家は、表から見るよりは小さな家である。


 二階建てで一階はキッチンとリビング、そして居間。

 バスルームとトイレ。

 そして小さな和室があり、父の仏壇が置いてある。


 
 柊は清流の仏壇に手を合わせた。

 仏壇に飾ってある清流の写真は静流と似ている感じがある。



 リビングにはソファーが置いてあり、ゆっくり寛げるようになっている。


「座ってて、お茶入れるから」

 キッチンに向かい、静流はお湯を沸かし始めた。


 ピンポーン。

 チャイムが鳴り、インターフォンのモニターを見る静流。

「え? 」

 モニターを見て静流は驚いた。

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