彼の愛した女(ひと)は?
7章
モニターに映っているのはミルだった。
今日は休みで誰も来ない筈。
自宅の方に来るとは・・・。
「ちょっと待っててね」
火を止めて、静流は玄関に向かった。
玄関のドアを開けると、いつもより濃いめのメイクをして可愛いワンピースを着ているミルがいた。
「先生、お休みのところごめんなさい。すぐ傍まできたから、先生いるかな? って寄ってみたの。ねぇ、良かったらカフェでも行きません? 」
「あ、悪いけど今お客様が来ているから」
ミルは玄関にあるパンプスを見た。
「お客さんって、女の人ですか? 」
「それは、君には関係ないと思うけど」
ミルはパンプスを見て、どこかで見覚えがある事に気付いた。
「先生、昨日の夜外泊してましたよね? 」
「なんでそんな事を聞くんだ? 」
「昨日の夜、娘が先生に会いたがったので連れて来たんです。でも留守だったようで自宅にもいなくて、ずっと待っていたんです。深夜になっても帰って来なかったので、外泊したのかと思って」
「俺のプライベートまで、君には関係ないと思うけど? 確かに娘さんが会いたがっている事は聞いているが、俺にも自分の時間があるから」
ミルは不機嫌そうに静流を見た。
「先生、恋人でもできました? 」
「はぁ? 」
「外泊するって事は、恋人が出来たんでしょう? 」
「そんな事、君には関係ない。とにかく、もう帰ってくれ」
追い返されると、ミルは余計向きになった。
「帰らない! 」
強引にミルは中へ入って行った。
「おい! 待て! 」
ツカツカと入ってくるミル。
リビングにいた柊は足音に驚いた。
リビングにくると、ソファーに座っている柊を見てミルは驚いた顔をした。
「あんた・・なんでここにいるの? 」
つかつかと、柊に歩み寄って行くミル。