塩分過多の海原くん



お互い、立ち上がった状態で。



私よりも10センチくらい背の高い彼が、私の目を、心を射るように……視線を絡ませて、離してくれなくて。



童顔海原くんのくせに。



「さんざん色々言ってくれたけどさ、わかってる?僕だって、男なんだよ。



ニコニコして、女子に手を出そうとか……僕は思わないけど。他のひとだったらどうか、わかんないよ?



笑わせようとしたり、遊びに誘ったり、そういうのされると……迷惑」



なんにも包まれない、塩要素の強すぎる言葉が……頭上からガンガン降ってくる。



……迷惑って言葉が、いちばん痛い。だけど。



「海原、それ……鈴村を男から守ろうとしてる?」



男子が、海原くんに向かって投げかけた。



「……っ」



不機嫌を物語る彼の目線が、私から、声の主にうつって。



「てかお前、ニヤニヤしてるし……迷惑って、もしかして……表情が崩れるからなんじゃ、っあ」
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