【企】リトルバタフライ
夏が過ぎ、周りの空気に冷たさを感じるようになったある日のこと。あたしはお昼休みに先生に頼まれていた教材を、教室に運んでいた。


「あーあ、今日こそあのメロンパン食べたかったのに・・・。」


特製メロンクリーム入りの、大きなメロンパンを食べることがあたしの夢。あたしはそのメロンパンのことを考えながらボーっと歩いていた。


そのときだった。


――バサバサバサッ。


あたしの向かいから歩いてきた人は両手いっぱいに持っていたノートやら参考書やらワークやらを落としてしまっていた。


「大丈夫ですか??」


思わず出てしまった敬語。彼の雰囲気がとても落ち着いてしっとりとしていたため、上級生だと思ったんだ。
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