クールな専務は凄腕パティシエールを陥落する
「もしかして、この上階に行こうと思ってました?」

「ええ、都合が悪かったですか?」

「もし、差し支えなければ私が選んだお店でも構いませんか?」

「ええ、愛菓さんの好きなものを選んでもらおうと思い、あらかじめメニューは頼んではおりませんから」

愛菓は少し笑って、チラリと和生を見る。

ホテル用の三巴のスーツは高級そうだ。

「そのスーツ、臭いがついても構いませんか?」

「スーツ、ですか?構いませんが・・・」

クールな表情に僅かに困惑が滲んだ。

愛菓は、和生の腕を掴むと、

「じゃあ、早速行きましょうか。和生殿」

と、どこか楽しげに歩き出した。

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