クールな専務は凄腕パティシエールを陥落する
18歳になった愛菓は、スイーツのより高度な技術を学ぶために、都内の有名な専門学校に通った。

優吾は27歳、都内の有名ショコラ専門店で修行を続けていた。

知り合いのいない中、一人暮らしを始めた愛菓が、大人でイケメンショコラティエの優吾に優しくされれば落ちないはずはなかった。

和生が調べたところによると、二人の関係は、優吾がイタリアのショコラ専門店に修行に出るまでの5年間は続いていたはず。

佐藤優吾は、2年前にイタリアで妻の美佳と出会い、昨年結婚、現在、美佳は妊娠6ヶ月である。

きっと、美佳は優吾から以前付き合っていた愛菓のことを聞いていたのだろう。

若くて美人で才能に溢れた愛菓に嫉妬し、やきもちを妬いても当然だろう。

同じ職場で、毎日顔を合わせなければならないならなおさらだ。

しかも、優吾の両親とは長い付き合いで、娘のように可愛がられている。

和生も、二人が別れたいきさつについて詳しいことは知らない。

だが、妊娠中の美佳が不安定な状況であるこの今こそが、和生にとっての好機ではあった。

le sucreの嫁として現れた美佳の存在が、安定したle sucreの均衡関係をぐらつかせていた。

その弱味につけこんで、和生は愛菓を手に入れたのだ。
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