クールな専務は凄腕パティシエールを陥落する
「では、私とのことはどうなのですか?』

和生も同じように愛菓の隣で上半身を起こすと、後頭部をなでながら、耳元に唇を寄せて甘く囁く。

「そうですねぇ・・・」

愛菓はくすぐったそうに

「和生殿は、イケメンなのに、しつこくて、無表情で、堅苦しいですが・・・」

と、笑いながら言葉を発した。

イケメン以外の言葉は、ほぼ悪口にしか聞こえないのは気のせいだろうか?

いや、愛菓ならずとも、ほとんどの人物が彼女と同じ感想を持つだろうということは、和生にも予想できたから何も言わない。

「でも、甘いものが嫌いなのに、嫌いだからって否定しないし、何事にも挑戦した上できちんと感想をくれる。気に入れば誉めてくれるし甘やかしてもくれるなんて、プレミア感満載じゃないですか」

愛菓は、和生の背中に両腕を回すと

「私だけを見つめるその冷たい視線に落ちてしまったのかも」

と呟いた。

「愛菓、さん?」

和生の胸の中で、愛菓は寝息を立てていた。

その姿は力が抜けて、無防備で子供みたいにかわいらしい。

まあ、子供を可愛いと思ったことはないのだが・・・。

和生は、わずかに口角を上げると、優しく愛菓の身体をベッドに横たえて、掛け布団をかけ、自分も横になった。

そして、愛菓を抱き寄せると、その体温を確かめるようにしながら目を閉じた。


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