クールな専務は凄腕パティシエールを陥落する
和生と愛菓が想いを確かめあった翌日の月曜日。

和生は通常出勤であったが、゛favori crème pâtissière゛は定休日。

和生のマンションで目を覚ました愛菓は、ぽっかりと空いた、キングサイズのベッドの右隣をぼんやりと眺めていた。

この天井は見覚えがある。

゛昨日、和生殿が迎えに来て、父上の店の激辛担々麺を食べて、それから・・・゛

愛菓は、その後、陽気に飲んだ後、和生の家に連れ込まれ、彼に抱かれたことを思い出した。

「やっぱ私はイケメン好きなのだな」

愛菓は、和生の完璧な顔と細身なのに筋肉の程よくついた肉体、溢れ出すフェロモンを思い出しながらため息をついた。

地味で堅実な祖父母も、豪快な父上も大好きだが、趣味趣向は違う。

育った環境に反発するかのように、愛菓は可愛いいもの、綺麗なもの、美しいもの、優しいもの、柔らかいものが好きだ。

和生は、゛綺麗゛や゛美しい゛が当てはまるとはいえ、それ以外は愛菓の好みからはかけ離れている。

あの冷たい表情で見つめられると、自分の存在すら卑しいと言われているようで怖いし、そんな彼の冷たさが好きだという強者は、生粋のMだろう。

だが、可愛いらしいものや甘いものを好む以上に、

両親の一風変わった愛情を注がれて育った愛菓は、

純粋に自分を求めてくる、強い視線や態度に・・・弱かった。
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