クールな専務は凄腕パティシエールを陥落する

真実はシンプルで

「どこへ行っていたんだ」

詰め寄る和生は今までで一番、恐ろしい顔をしていた。

「えっと・・・、お腹がすきすぎて気持ち悪くて、父上の戦国ラーメン店に激辛担々麺を食べに行きました」

「話があると言っただろ?俺の話は無視か?」

「いえ、本当にあのときは気分が優れなくて・・・気がつけば父上のところに行ってました」

ツカツカと歩み寄る和生が激昂しているのがわかり、責められると思った愛菓は俯いて、身を縮ませた。

「心配、させるな・・・」

思い詰めたような声に、愛菓は顔をあげようとするが、和生にきつく抱き締められてそれは叶わない。

「和生・・・殿?」

「ここは寒い。中に入れてくれ」

和生は、愛菓の身体を離すと、愛菓にエントランスの鍵を開けて家に入るように促した。

しっかりと愛菓の肩を抱いた和生の顔は相変わらずの無表情。

愛菓はキーロックを解除し、和生と共に自宅へ戻っていった。

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