クールな専務は凄腕パティシエールを陥落する
「Alexandre K Leroy(アレクサンドル ケイ ルロワ)。ミドルネームのKはカズの略。皇子の祖母は日本人で、和子と言うらしい」

和生の言葉を聞いて、愛菓はすべての事項ががスッキリと繋がっていくことを実感した。

世界スイーツフェスティバルで愛菓に会ったアレクサンドルは、母国に帰り、自慢げに愛菓の話を姉であるアリスに語って聞かせたのだろう。

愛菓のレシピをお抱えパティシエであるマサキヨシザキに作らせたものの、なにかが違う。

焦ったヨシザキは、アレクサンドルと周囲の大人をそそのかし、愛菓のフランス留学を確約することを餌に、オークフィールドホテルでのスイーツ世界大会を開催させた。

「アリスさんとの婚約は嘘なのですか?」

「フランスの元皇族が、小規模な日本のホテルの一社員を手にして何の得をするというのです?おそらく、ルイがあなたを心理的に揺さぶるためについた嘘でしょうね。私がしたように・・・」

「和生がしたように?」

ニヤリと微笑む和生は、愛菓の耳元に口元を寄せると

「ええ、貴方を手に入れるために、私がle sucreに仕掛けた心理戦を真似たのですよ」

と囁いた。
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