クールな専務は凄腕パティシエールを陥落する
「はい。和生、あーんして」

「愛菓のスイーツもカフェラテも本当に美味しいな」

仕事を終え和生のマンションに帰宅した22時。

和生の膝の上に横向きに座る愛菓は、左腕を和生の首に回し、右手にフォークを持って、手作りのスイーツを和生の口に運んでいる。

祖父母にも、両親にも、もちろん優吾にも甘えることのなかった愛菓は、和生に受け入れてもらうことによって甘えん坊の本来の自分を解放した。

クールな愛菓の隠していた本来の姿は破壊力抜群で、和生はこうして自分だけに甘えることを許すことで、心の安寧を維持しようと企んでいる。

ベタベタに甘えさせることに初めは抵抗を持っていた和生だが、この破壊力抜群の愛菓を他の男に見せて横取りされるわけにはいかない。

自分だけに甘える愛菓はものすごく可愛い。

「愛菓好きだよ」

「私も。和生」

重なりあう唇からも愛情が溢れだす。

クールな専務と淡白な敏腕パティシエールが、自宅ではこんなにラブラブな時間を過ごしていることは誰も知らない。

甘くないスイーツがもたらした新たな信頼関係は、今後も深く熱く、甘く二人を陥落していくに違いない。

おしまい。
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