白と黒ゲーム
"キーンコーンカーンコーン!
二十二時まで残り十分となりました。黒以外の皆様は二十二時までに個別部屋へ入るようお願いします"
そんなアナウンスが聞こえると、私は本当の目をゆっくり開ける。暖かい布団の温もり、身体に感じるダルさで私は寝ていたのだと理解する。
右手ゆっくり自分の顔まで持ってきて見てみる。薄暗いが、よく分かる。夢の侵食は無かった。
「...杏?」
私はそう声を掛けられ、右手からゆっくりそちらへ目線を当てると、黒い人影が扉前にいた。私は一瞬ゾワッとし、寝ぼけている意識から一瞬に覚めた。
だが、黒い人影が電気を付けてくれたおかげで、私は発狂せずに済んだ。
電気が照らす私の個別部屋には玲美がいた。起きた私をポカーンと口を開けてただ見ていた。
「玲美...」
私が呟くと、玲美はゆっくりと近付いてきて、何かしらオドオドしている感じだった。
「あ、杏?大丈夫?具合悪いとかない?」
「....別に大丈夫だけど...」
「そっか....何か欲しいものとかある?飲み物とか。」
「....少し水が欲しいな...」
私がそう言うと、玲美は急いで個別部屋にあるペットボトルを持ってきた。