白と黒ゲーム

「だって今日終わるんでしょ?ゲーム。黒のノルマを未達で抑えてくれるんだよね?責任を取ってくれるんだよね?」


「あっ...えっと....それは...」


美智はいつものようにオドオドしていた。やはりあの冷静さはマニュアルがあってこそだと私は確信する。マニュアルに載っていないものが飛んでくれば、わかりやすいほど仮面が剥がれた。


「だから責任は私には無い。美智さんにある。何か言いたいことは美智さんに言って?」


流石の真も言い返せないのか、私を恨めしそうに睨みつける。


私は弱い人間だった。普段から目立つような行動はあまりしない。頭の回転は遅く、何かが終わったあとに色々と気付き、言うのが遅れるのはしょっちゅう。

この施設にきてからもそう、私がダメな性で純が追い詰められた。純を助けようにもすぐに頭に血を昇らせたり、挙句の果ては感情論。結局純を助けられなかった。私が純を突き落としたと言っても過言じゃない。

そんな私が真を追い詰めている。悲しみ、苦しみ、そして憎しみによる覚醒。ここまで追い込まれてからじゃないと、こういう行動を起こせない。そして真が苦しそうになってる姿を見て高揚感を感じる私は、自分自身が嫌いだ。
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