白と黒ゲーム
立飛が声を挙げるが樹先生は何も答えず歩いていた。立飛はギリッと歯ぎしりをして、唾を巻き散らかしながら吠えた。
「なんか答えろよ!!おい!!んだよこれぇ!!説明ぐらいしろよオラ!!」
立飛の怒号について行くかのように、他のクラスメイト達も声を上げていく。
「ねぇ先生!!教えて下さい!!なんなんですかこれ!」
「ここどこなんですか!!なんで黙ってるんですか樹先生!!!」
クラスメイトの怒号に近い質問も先生はまるで聞こえてないような顔で歩いていく。
樹先生は山田の隣に来ると、ピタリと足を止めた。山田は先生に手をかざしながら、口をゆっくりと開けた。
「皆さんにはまず今の状況を教えてあげましょう!本来なら修学旅行の予定ですがそれは変更されました!皆さんは今世間では行方不明という形になっています。
そしてここに警察やら助けに来る人はいません。そんな人達では辿り着けない場所に皆さんはいるのです。」
「は、はぁ!?お前何い」
立飛がまた声をあげようとした瞬間、山田は立飛に向かって小さいナイフを投げた。それは顔スレスレで通り過ぎ、壁に突き刺さった。
全員がその事に固まっていると、山田は人差し指を立飛に向けて小馬鹿にしているかのように左右に振った。