白と黒ゲーム
私達はお互い顔の緊張が解けながら握手を交わした。凛は私にとって味方とは限らないが、恨みっこなしの対等な関係になれた気がして変に悪い気はしなかった。
凛が私から離れていくと、すぐに玲美は飛び付くように私の側まできた。
「大丈夫だった杏!?なんか変なこと言われたとか」
「お、落ち着いてよ玲美。大丈夫だから。吹き込まれたことは無いし、ただ腹を割って話しただけだから。」
「そう?....ならいいけど...あ、それと杏。セーフティータイムどうする?真の跡を付けるの?なら私達も」
何とかして力になりたいのか、玲美は少し前のめりになっていた。だが、私は頭を横に振った。
「ごめん玲美、それは私一人でやるよ。一人の方が動きやすいからね。」
「そっか...でも、休憩とか入れてね?三時間ずっと跡つけるのもキツいから。」
「うん、ありがとうね。」
朝まで漆黒の炎で燃えていた私の心は玲美と勝治、不思議な感覚をもたらせてくれた凛のおかけで鎮火しつつあった。私は小さくなっていく炎を受け入れるが、完全な鎮火を望んでいなかった。
真への復讐、ゲームの終了。これら二つが満たされない限り、私の黒い感情は無くならないと私自身自覚していた。