白と黒ゲーム

その人物は元道だった。純の処刑に反対し、助けようとしてくれた人物、元道の手の甲には昨日の傷が痛々しく残っていた。

元道は席に座ったが、自分が何か料理を持ってきてない。そして私の座ってる机には私一人しかいない。私自身に話があるのは明確なのだが、元道は困った表情をしながら目線を逸らしていた。


「....元道君?何か用?」


「あ...えっと....そ、その....」


体格に似合わずモジモジと少年のような態度だった。ギャップがあり、私は少し微笑ましく思えた。


「早く言ってよ。私、これ食べたいんだけど?」


「あ!そ、そうだよな!俺のことはいいから、食べなって。」


「ううん、話を聞いてからにするよ。食べてるのを見詰められても恥ずかしいって。」


「そ、そっか...その....昨日のことを話しても大丈夫か?」


この言葉を聞いて、私は元道の行動に納得する。
私に話しかけれなかったのは恥ずかしいのではなく気まづいから、私を傷つけず話をするにはどうするかと困っていたのだ。


「うん、大丈夫だよ。」


「あ、あの...あの時は本当にごめん。もっと俺が無実を証明できれれば結果は違ったのかもしれない。本当に....」



「本当に...そう思ってるの?」
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