白と黒ゲーム
五人の容疑者
"予告、予告、セーフティータイム十分前となりました。"
そのアナウンスと同じタイミングで私は大部屋に来た。昨日と同じく、最後に来たのは私だった。
だが、昨日と違う点があるとすれば、大部屋にいる全員が私を見て驚きの感情を持っているのと、足元がおぼつかないくらいだった。
私は鏡を見てなくてもやつれていると感じていた。
元道との会話後、食事を済ませた私は泣きながらトイレで吐いていた。
元道との話で、自分が実はどれ程腐っている人間かを強く自覚し、その負の感情に耐えられなかった。
私の内に住まう黒い何かを外へ逃がすように吐き、そして自分自身に感じている怒りを涙と嗚咽に変えていた。
そのおかげで心は凄くスッキリしたが、その代わり足がもたつき、体調が優れなくなっていた。
そんな私を見て、玲美と勝治は急いで私の元へ血相変えて近寄ってくる。二人が触れそうな距離まで来ると一気に力が抜け、二人に身体を預ける感じになった。
「あ、杏!何があったの!?大丈夫!?」
「あっ...ハハ....ご、ごめんね。ちょっと力が抜けちゃって...大丈夫、もう大丈夫だから....」