白と黒ゲーム
「あ、杏!!?大丈夫!?」
アナウンスとほぼ同じタイミングで聞こえた声、私はゆっくりそっちに目線を向けると、水のペットボトルを持って息を切らしている玲美がいた。
私が勝治に泣きつき、元道が倒れている。大部屋に何かあったのは一目瞭然だが、理解が追いついてない感じだった。
「...え?何これ....勝っちゃん!一体何が...」
そこで玲美は言葉を止める。その理由は勝治が歯を食いしばって顔を強ばらせていたからだった。
「....もしかして...勝っちゃんが?」
その質問に対して返答は無かった。それで全て察したのか、玲美は勝治と私の間に入り、私を立たせてすぐそばの壁に座らせた。
「...ごめんね杏。ちょっと水を探すの手間取っちゃった。....怖かったよね?苦しかったよね?大丈夫....もう大丈夫だからね。」
玲美は優しく話しかけてきて、私は受け渡されたペットボトルを握りながら静かに涙を流した。
「ご....ごめんな....ざい....ごめん...なさい....」
「謝らないでほら、綺麗な髪がクシャクシャじゃん。今は余計なことは考えなくていいからね。ごめんなさいも後で聞くから、今は自分のことだけ考えて。」
玲美の優しさに私はさらに涙を流した。体育座りで縮こまり、なるべく迷惑がかからないよう泣いていた。