白と黒ゲーム
山田の説明
白い空間には既に血の臭いがした。
樹先生が殺され、全員が怯え、山田の声に耳をきかせているのに必死だというのに、私の鼻は血の臭いを嗅ぎつける。
一回嗅ぐだけで思い出す先生の姿。そしてそれは私を更に硬直させて、山田への恐怖心が増幅されていった。
山田はそんな私達の心境を知る由もなく、不気味な笑顔をしながら口を開いた。
「それじゃあゲームを始める前に....おい!!」
山田が空に向かって手を二回叩くと、私の背後にある扉含め、二つの扉が開かれた。
そこからは山田と同じ黒スーツを来ている大人がゾロゾロと入ってきた。
黒スーツの大人達はそれぞれおぼんに透明な液体の入っているペットボトルと紙コップを持っていた。
その大人達は扉から一番近い場所、私と反対側でゲロを吐いていた武藤の隣で一人立ち止まった。そこから流れるように一人づつ立っていく。
なんなのこの人達...あの液体って水?
声も挙げられずに私達が困惑していると、私の隣の黒スーツの女は目の前の机におぼんを置き、両手の手枷を解いた。
久しぶりに解放された手首は手枷の痕がついてジンジンと痛みを感じた。
「皆さん。今置かれているその飲み物を飲んでください。心配しないで下さい。毒ではないですから。」