白と黒ゲーム

栄一は確実に孤立しており、体育座りして涙を流しながらブツブツと一人うずくまっている。
七愛海の血は人を押さえつけれない女子達で、階段近くに設置してある用具入れから雑巾とバケツで拭き取った。

しばらくして美智が縄を持ってきて、栄一を菅と蓮が拘束した。流石に栄一は何も抵抗せず、その拘束を受け入れた。

両手を後ろにキツく縛られ、一人で立つのも一苦労そうだった。


「...ねぇ、杏。」


すぐ隣から小さく声をかけられた。玲美だった。


「何?」


「あの...ありがとうね。杏の発言が無かったら私今頃...」


玲美は七愛海の姿が頭から離れないのか、顔を曇らせていた。両手も少し震えていた。

そんな玲美に私は綺麗なおでこにデコピンをした。玲美は両手でおでこを抑えながら驚いていた。


「それはお仕置。さっき自分の命を捨てようと発言したお仕置だよ。玲美は現実から逃げて楽になろうとしたけど、そんなの私は許さないよ。玲美が死ぬのは玲美だけの問題じゃないんだから。一緒に生きよ?」


私はニコッと微笑みながら玲美に言うと、玲美は何故かクスクス笑い始めた。


「え?なになに?私なんか変なこと言った?」



「ち、違うの。杏ってば、勝っちゃんと同じこと言うんだもん。おかしくって。」


「そっか....そうだよね。もうあんなこと言わないでね?」
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