白と黒ゲーム
「ふぁ〜。」
気の緩みが命取りの状況で私、渡邉 神奈は欠伸をした。まだ部屋にも入っていないが、確信に近い安心感を感じているからだった。
時間もまだ余裕があるし、まだ部屋に入っていないのは自分を含めて五人。後ろを振り向くが、誰かがドアを開く音は勿論、物音一つ聞こえなかった。
はぁ....ようやく終わる...自分が七愛海みたいになるかもしれないと思って怖かったけど、良かったぁ....ぶっちゃけ、黒はそもそも無理ゲーだよね。殺さないといけない上にバレちゃいけないってキツすぎ。一日目乗り切れたのも奇跡じゃん。
もうゲームが終わると確信している私は頭の中で好きな音楽を再生する程余裕に満ちていた。
そしていよいよ自分の番。私は出席番号では最後、つまり部屋に入っていないのは私と美智だけだった。
チラッと通路の時計を見ると残り二、三分になっていた。
「渡邉さん、早く部屋に入ってバリケード準備を。」
「うん、分かってるって。それにしても時間調整も完璧だね。後ろでいざこざは無さそうだし、今日で終わるね。」
私がそう言うと、緊張の糸が解れつつあるのか、美智はニコッと笑った。
「はい。でも最後まで気を抜けません。私は周りを見つつ、早く部屋に入らないと。」