白と黒ゲーム
「おい!それは引っ張らない約束だろうがよ!ふざけんなよ馬鹿純!」
私達三人は笑った。ここは最悪の施設、そんな嫌にもなる状況を少しでも忘れることが出来た。止まっていた脳細胞が幸せという名の薬で活発化していく気がする。
そして気がつく、この中に足りない存在の事を。
私は目線を逸らし、勝治の裏手を見た。玲美は私達に背中を見せながら体育座りしていた。私はすぐに立ち上がり、玲美の方へ立ち寄った。
ブツブツと何かを呟いていた玲美は私に気が付くと、顔が暗くなりながら私から目線を逸らした。
「...何考えてたの?」
「....別に気にすることじゃないよ。それより、杏....さっきはごめん...私、そういうつもりで言った訳じゃ....」
「うん...私こそごめん。そんな気は無いはずだと思ってたのに八つ当たりみたいなことしちゃった。」
「ううん。杏が謝ることないよ、私が全部悪いの....」
玲美が今にも泣きそうな声で言うと、私は彼女の横へ腰を下ろした。
私と玲美の異変に気が付いている純と勝治は声をかけないでくれていた。私達に気を使ってくれた事に私は心が温かくなる。
「玲美ってさ...少し抜けてるけど頭いいよね。」