白と黒ゲーム
そこを取り押さえるの。まぁ、すぐには向かわないと思う。怪しまれないようにこっそり人目を抜けて取りに行く。」
玲美って凄いな...こんな短期間にここまで考えがまとまるなんて。それに比べて私は....純が殺されそうになっているのに黙って落ち込んでるなんて...
私は自分の無力さに少し心が傷んだ。玲美という人間を見てると、自分に足りないものが透けるように出てきてしまう。
「そんな状況を私達が作り出す。黒が"今なら行ける!"っていう状況を作り出して、私達が捕まえるの。」
玲美の説明が一段落済むと、勝治は顎を触りながら難しそうな顔をしていた。
「考え方は分かったが....具体的には決まってるのか?その黒を誘き寄せる案は。」
「あんまり時間が無かったからパッとした考えだけどね。まず自由行動になったら全員ここから出るでしょ?その時に純と勝っちゃんは先頭付近、杏は真ん中で前の方を、私は一番後ろで真ん中までの皆の様子を見ながら出る。」
玲美は紙とペンが無い代わりに人差し指で床へなぞるように説明した。私達三人はそれに食いつくように見た。
「何も異常がないなら、純と勝っちゃんは食堂へ向かって。向かう間少し中が悪そうにしてて、食堂に着いたら大声で喧嘩して。」
「け、喧嘩をか〜?なんでまた...」
純が呆れてそう言うと、玲美は煽るように純の頭をポンポン叩いた。