白と黒ゲーム


純は真の言葉を軽く受け流した。それが気に食わないのか、真は少し苛立った顔をして二人とは真逆の出口へ歩いていく。


それに従うように全員が徐々に立ち上がり、それぞれ自分が近い出口へ足を運ぶ。
私は玲美のシグナルサインに応じ、純と勝治のグループの方へと歩いていく。

一歩一歩足取りが重い。それもそのはず、ここでミスは許されない。黒に自分達を怪しまれてはいけない。そしたら黒が武器庫へ姿を現すのが難しくなる。

長い目を見ればそれでも十分過ぎる効果。だが、純を守るためにはそれではダメなのだ。


絶対に成功させる....正直、純の生け贄みたいな感じで後ろめたさを感じる。だけど、だからといって純を死なせる訳にはいかない!!


私は二次創作に出てくる暗殺者のような気分になった。自分の存在を薄めて皆の背後をとり、ホコリが舞うのすら見逃さないような集中力を持って監視をした。
誰が黒なのか、或いは黒側の人間なのか、ここで捕まえるかのような意識だった。


「お前のせいで俺まで嫌な目線を当てられる...ふざけんなクソ....」


「ふざけんな...誰が助けてくれって言ったよ....てめぇに助けられるんだったら家畜の豚が寄り添ってくれた方が幾分マシだったろうに...」


純と勝治は作戦通り、お互いの仲がギスギスしているのを私たちに聞こえるか聞こえないか程度の話をしていた。
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