白と黒ゲーム

そう言って手を挙げたのは滝 凛。短髪でボーイッシュ気味な運動系女子生徒。普段はあまり言葉を交わす仲ではないが、同級生で変だが話した感じは頼れる元気なお姉さんという感じだったのを思い出す。


そんな凛はある一人の人物をジーッと見ていた。それは黒候補の一人、栄一だった。
栄一は自分が見られていると感じたのか、ビクビクしながら目線をそらす。


「栄一、あんたそう言えば映画部屋に入っていったよね?私ともバッチリ目が合ったし。自由行動に移ってから間もなくして映画部屋に入っていったから不思議には思ってたんだけど...そういうこと?」


凛は目を細めながら栄一に聞くが、その目線に耐えられないのか少し震えながら下を見つめていた。


「ぼ、僕は....確かに映画部屋に入ったけど、元々気になっていただけなんだ...こんな施設に映画を見るような所があるなんて....」


「あっそ。ならなんであんたは震えてんの?そんな理由があって、自分が黒じゃないって自信があれば起きるわけないと思うんだけど?」


「し、仕方がないだろ!こ、怖いんだよ!変な難癖付けられて指定されるのが....そもそも、僕がその黒カーテンを取っていった所を見たのかい!?僕は取ってなんかないよ!」


栄一は叫ぶようにやけくそに凛へ聞いた。凛は面倒に思ったのか、嫌そうな顔を作っていた。
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