白と黒ゲーム


「別にあんたが黒だって決めつけてるわけじゃないんだから、そんな怒鳴らなくても...まぁ、私は入る所だけだから出る所は見てないよ。出る所見た人がいるなら、その人にパスってことで。」


凛は話を投げ出すと、イスに身を預けてフーっとため息を吐いた。栄一はまだ興奮が落ち着かないのか、鼻息を荒くしたがら凛を目開いて見ていた。

栄一のあまりにも怪しすぎる反応、他の全員も思っていると私は確信する。


栄一こそが....く


「...はい....俺は....栄一が出るとこ見たけど....」


「え?」


そう言って手を挙げたのは蓮だった。相変わらずの声の小ささであるものの、私はすぐに反応した。


「え?マジか蓮。俺は栄一なんて見てねぇぞ?」


「....飛丸....ほら、純と勝治の喧嘩してるの見て...その後部屋を見て回ってた時チラッと....」


「ふ〜ん。で、どうだったんだ?」



「いや別に...手ぶらだったよ....カーテンを制服の中に入れてる感じもなかったし....」


蓮は飛丸と普段の会話のようにそう言った。栄一が黒と断定できる最中、思いもよらず蓮の言葉でアリバイが出来てしまった。私は純が指定されない安心感を少なからず感じていた為、ショックは大きかった。
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