白と黒ゲーム
よりによって最強の証人、先導者。
真のアリバイは完全無欠な要塞のような完璧さだった。
頭の中がグルグルと掻き回されるように思考が纏まらない。誰が黒なのか判断すら出来なかった。だが、このまま黙ってはいけないと辛うじて脳が出した信号に、私は忠実に従った。
「じ、じゃあやっぱり栄一君か菅君か武藤君と桐君の誰かが黒!」
「は、はぁ!?だから僕は蓮君が部屋から出てくる時に何も無いって」
「蓮君しか見てないんでしょ!?怪しいって!立飛君と飛丸君は見てないんでしょ!?」
私はらしくもなく、声を大にして二人に聞く。二人とも、普段見たことも無い私に動揺しているのか、困惑した表情を作っていた。
「あ、あぁ..」
「俺も....見てねぇけど...」
「菅君は!?誰か食堂で見てたの!?それに武藤君と桐君も怪しい!候補の二人が一緒なんてそんな」
「ククク....いい加減にしたら?」
私がグチャグチャの思考のまま、無我夢中で黒を見つけ出そうとしていた中、一人の笑い声が聞こえる。
私はピタリと口を止め、薄ら笑いを浮かべている真に注目する。