欠けてるあなたが大好きです。
「ほんとごめんな。
気分悪くなったでしょ。」
「いえ…。」
つづるさんは、
申し訳なさそうではあるけど少し微笑んでいる。
「咲雪ちゃん。
さっきは3日間だけの臨時バイトって言ったけどさ。
あいつらと同じバイトやってみない…?」
純粋に何言ってるんだこの人って思った。
わたしが歓迎されないのは明白なのに。
「どうしてですか?」
「あいつらに人間のあったかさを知ってもらいたい。
咲雪ちゃんが教えてやってほしいんだ…。」
人間のあったかさ…?
それを知らないってことが共通点なの…?
それなら裏切られたとか…?
いつもみんなに囲まれてる諒くんなんかは
十分知ってそうだけどなぁ…。
「あいつらの中に入るのはキツいとは思うけど、
できるだけ俺もフォローするから。お願い。」
いつになく真剣なつづるさん。
つづるさんの気持ちに応えたいとは思う。
でも自分から行動できない
受け身なわたしにできることなんてたかが知れてる。
「ごめんなさい…。わたしには無理です。」
「…3日間だけは引き受けてくれない?
ほんとに咲雪ちゃんしかいないんだ。」
きっとこの臨時バイトも
わたしをLead Sに引き込むためのものなんだろう。
これほどの人材を集めているんだから、
わたし以外にいないわけがない。
そう冷静に思ってはいるけど、
見てるだけでこっちもつらくなるような顔をされたら
断れない。
「わかりました…。」
気づけばこう口にしていた。