欠けてるあなたが大好きです。
At Lead S ~臨時バイト初日~
7月11日月曜日。
臨時バイト初日。
実行委員の仕事を水谷くんに押しつけ、
わたしと諒くんはLead Sへ。
「そーいえば昨日見せてもらったけど、
制服超似合いそうだった。」
「制服?」
「ほら、カフェスタッフが着てるじゃん。
ミユはほぼ原型とどめてないけど…。」
確かに男性スタッフはみんな、
グレーっぽい優しい黒のシャツに
パティシエがしてそうなワインレッドのネクタイをつけ、
白い腰巻きエプロンをしている。
エプロンにはLead Sとオシャレなフォントの
ワインレッドの文字がデザインされている。
まぁ、つづるさんとフウくんはネクタイしてないけど。
一度だけ見たミユさんの接客姿は、
腰巻きエプロンこそ男性と同じだったものの、
薄いピンクのシャツにワインレッドの大きなリボン、
黒のレースでふりふりになったパニエを着用していた。
「つづるさんめっちゃはりきって準備してたぜ。
3日間のためだけによくやるよなぁ。」
「あはは、そうだね…。」
つづるさん、本気なんだなぁ。
わたしが人のあたたかさを教える、
なんてできるかわかんないのに。
白羽の矢が立てられても、正直困っちゃう。