欠けてるあなたが大好きです。

いろいろ考えているうちに、Lead Sにつく。


もちろんわたしたちは

スタッフルームに通ずる質素なドアの方に行き、

中に入る。




「こんちはー。」


「こんにちは。」



「お、来た来た。」


中にはつづるさんがいた。




「とりあえずあと5分くらいで開けるから

 フウくん着替えて準備よろしくー。

 咲雪ちゃんは外出る?でも暑いか。

 一旦あっち行けばいいね。」


シックなライトグレーのドアを指す。



諒くんは既にフウくんになるべく動き始めていたから、

何も言わないで店内に飛びこむ。




いつもの店内を見渡す。





ここに最初に来たときはホストかと勘違いしたのに、

今や臨時とはいえスタッフ側かぁ。


なんだか不思議な感じ。





ガチャッ。


「改めてよろしくな。」



学校の制服からここの制服に変わった諒くんが

にっと笑顔を見せてくれる。




「諒くん!こちらこそだよ。」


「フウな。

 あ、あと咲雪は美冬(ミフユ)だってよ。」



「美冬…?」


「雪が咲くのが咲雪だから

 美しい冬の景色だよねって。」



わざわざ考えてくれたんだ。


自分の居場所ができたみたいでちょっと嬉しい。




「んじゃ美冬、中戻って。店開けるから。」


「わかった、フウくん!」



笑顔を見せてからスタッフルームに戻る。





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