欠けてるあなたが大好きです。
「宣伝メールでもお伝えしましたが
期間限定スタッフの美冬ちゃんでーす。」
つづるさんがお客さんに言ってから、
目で挨拶してと言われる。
「美冬です。よろしくお願いします…!」
「評判よかったら期間限定じゃなくなるんで
田中さん、伊藤さん、よろしくね〜!」
えっ?
もちろんそんなことは聞いてないけど、
つづるさんの言葉に男性のお客さんが
きらきらしだすから何も言えなかった。
これもわたしをLead Sに
引き込む作戦なんだろうなぁ。
「じゃあ美冬ちゃんは
ミートソースパスタお願いね〜。」
つづるさんはそう言いながら
常連さんと思しき女の人2人組の元へ行ってしまった。
料理の監督しなくていいの…?
てっきり逐一チェックされると思っていたから、
少し驚く。
厨房に行き、
ショウキさんから受け取ったレシピを見ながら
料理を始める。
わたしのいつもの席から
カウンター席の奥にある厨房は見えなくもない。
だからある程度手際はわかってるんだ。
いつも使っている家のキッチンかのように
くるくると動き回って作り上げる。