欠けてるあなたが大好きです。
「来週の木曜日までに読んできてー。
著者の名前消してるのはわざとだから、
ネット検索とかしないでね。」
「は、はあ…。」
論文なんて読んだことないよ。
大学生じゃあるまいし…。
「それのこと、他言禁止ねー。
特にスタッフには絶対言わないで。
来週の木曜日は19時ちょい前に来てね〜。」
「わかりました…?」
リュックに論文をしまっていると、
コンコンッとノックの音がする。
つづるさんが返事をして、
カヅキさんとフウくんが入ってくる。
「終わったよん♪」
「おつおつー。
んじゃフウくん送ってってあげてね〜!」
「へーい。」
フウくんたちは相変わらず
わたしがいても平気で着替えようとする。
「外で待ってます!
お疲れ様です!」
質素なドアから逃げるように外に出る。
日が落ちてだいぶ経つはずなのに、
むわぁっとした空気が体にまとわりつく。
数分後、諒くんが出てきて
駅まで送ってもらい、家に帰った。