欠けてるあなたが大好きです。
「100人に1人の割合で存在する、
感情のない超合理主義者。
脳の共感する機能が遺伝的に働かず、
相手の感情を的確につかめるが、
共感することはできない。」
ここまではルーズリーフを見て、
つまり下を向いて言った。
でも、きっと今から言う言葉は、
本人たちからしたら
大きくて重くてコンプレックスに近い言葉。
だからちゃんと顔を上げて言いたい。
見渡すと、つづるさんと彩陽さん以外の
スタッフ全員がわたしを睨むように
静かに敵意のある目を向けていた。
「…サイコパス。」
10秒くらい経ったのかな。
きっと短かったんだろうけど、
すごく長く感じる沈黙を破ったのは、
フウくん…いや諒くん。
「なんでコイツがつづるさんの論文知ってんだよ…!」
「これでお前らの関係者になるだろ?
抵抗されるのはわかりきってたし、
それなら俺は強行突破だ。」
にこっと笑うつづるさんは、
普段からは考えられない冷たい笑みだった。