欠けてるあなたが大好きです。
カランコロンッ。
「いらっしゃいませ〜。」
「お帰りなさいませっ!ご主人様♡」
わたしの普通の挨拶とはまったく違う、
カフェのコンセプトを
ぶち壊しに行くスタイルのミユさん。
それ、メイドカフェとかだよね。
ミユさんから離れ、お客さんの方に行く。
「って彩陽さん!?」
「やぁやぁ!
元気にしてたかい?我が友よー!」
相変わらずハイテンションというかなんというか…。
カウンター席に案内して、おしゃべりをする。
だってお客さん彩陽さん以外は
男性客=ミユさん目当てなんだもん。
「この前のナポリタンめっちゃおいしかった!」
「よかったです!今日はどうしますか?」
「オムライスにしよっかな♪
ケチャップは咲雪ちゃんの愛を込めたハートで!」
「彩陽さん、わたし美冬です…。」
なんでここはスタッフさんの名前が
本名じゃないのか知らないけど、
せっかくつづるさんが考えてくれた名前だし。
あれ?
彩陽さんってつづるさんの奥さんだよね?
なんでつづるさんの身内が率先して
本名バラしてるんだ??
「ねぇねぇねぇねぇー!
なんでそんなに手際いいのー?
どーやったら次々しゅぱぱぱってやれるのー?」
オムライスを作っていると、
彩陽さんが矢継ぎ早に質問をとばしてくる。
「料理大好きでちっちゃい頃からやってたから…。
慣れですかね?」
「はい、アウトー!」
「…え?」
「ですかね?は敬語だぞ!
さっきまでは一応店員さんだから
見逃してあげたけど、もういいよね♪」
「…あ。」
そういえば敬語使ったらコスプレなんだっけ…?
すっかり忘れてた…。
「なににしよっかなぁ♪
定番の猫耳メイド?
でも文化祭で似たの着るって言ってたなぁ。
じゃあポリスとか?
あ!ナースとかも萌える〜!」
…よし。
ちょっと聞こえないことにしておこう。