欠けてるあなたが大好きです。
諒くんの髪に触れる。
さらさらのきれいな茶色の髪。
染めてないのに茶色って
なかなかにうらやましいよね。
わたしの髪は光に当ててやっと
こげ茶に見えるような見えないような
って感じの黒髪だし。
起こさないようにゆっくりと髪をなでる。
どれくらい時間が経ったのか。
無心になでていたら、
ケータイのバイブレーションの音によって
現実に引き戻された。
わたしのではないってことは、諒くんの。
「諒くん、諒くん。鳴ってる。」
ゆさゆさ揺らし、諒くんを起こす。
「ん…。」
起き上がった諒くんは
ポケットからスマホを取り出し、耳にあてる。
「んぁ?
…あぁ。うん。…そっすよ。」
漏れて聞こえる声的に、多分相手はつづるさん。