欠けてるあなたが大好きです。
「わたし、
諒くんと付き合うことになったの。」
「えぇ…!?」
「え…?」
明日香ちゃんは驚いた様子で声を上げたが、
琉奈ちゃんは困惑してる様子。
そして10秒後。
「さゆと風越が付き合う!?」
教室中どころか、
廊下にまで聞こえてそうなよく通る大きな声。
さすが琉奈ちゃん。
ないしょって言葉の意味を
知らないのかもしれない。
それなりに人数のいた教室がざわざわし始める。
「あはは…。」
これ、どうしよう?
諒くんに目をやると、
諒くんは何かを朔くんに耳打ちしていた。
何言ってるんだろ?
と思っていたら朔くんが
琉奈ちゃんには劣るが
教室中に聞こえる大きさの声を出す。
「リョウと中園っちが付き合ってるってマジ!?
本人に聞いてみよーう!」
なにこの作られたセリフ。
棒読みだし、聞いてみよーう!の感じが
幼稚園児の時に見たテレビ番組の
お兄さんの言い方にすごく似てる。
朔くんの演技力は皆無なことがわかった。
「咲雪。」
諒くんがこっちに来いと手で示している。
みんなに注目されながら諒くんの隣に行く。
諒くんは左手をわたしの頭にのせ、
その状態でみんなに宣言するかのように言った。
「咲雪の彼氏になりました、風越諒でっす☆
みんなが大好きないちごの天使は
オレのものになったんでよろしく!」
教室が騒音で包まれる。
ほぼブーイングな気がする…。
やっぱりみんなから人気の諒くんは
他にもたくさんの人から好かれてたのかな…。
このブーイングをやめてもらいたくて、
なにかいい案がないかと模索する。