欠けてるあなたが大好きです。
「じゃあみんな作業再開なー。」
諒くんがゆる〜く指示を出し、
みんながぱらぱらと作業を始める。
わたしは諒くんのもとへ行き、小さな声で謝る。
「ごめんね…。」
「なにが?」
「隠しておいたほうが良かったかなって。」
「あー、別にいんじゃね?
もともと言われてたし、
あんま変わんねーよ。」
「…もともと言われてた?」
「咲雪と仲いい男子オレくらいだったろ?
だからみんなから
咲雪と付き合ってるのか
ちょくちょく聞かれてたぞ?」
「え!?」
初耳だ。
わたしには何も言われてない。
「みんなのいちごの天使だから
抜け駆けすんな!とも言われたな。」
まぁもうオレのだけど、と言いながら
ぽんぽんっと頭をたたかれる。
むぅ…。
さらっと頭ぽんぽんしてきたり
オレの、とか言ってきたりするの、ずるい。
諒くんの"作った"態度だとしても、
嬉しいもんは嬉しい。
きっとわたしの頬はゆるんで、
ピンク色に染まってるはず。
一瞬だけ、無表情に戻った諒くん。
少し驚いてしまってそれが表情に出てしまった。
「悪い。怖がらせたか?」
「ううん。
諒くんがここで素を出すと思ってなくて
ちょっとびっくりしただけ。」
「咲雪が幸せそうな顔してるから
ほんとに幸せって思ってんのか
ちゃんと見てみたくなってさ。」
「…わたしの表情疑ってんの?」
「どうだろーな。」
にやにや余裕な笑顔を浮かべてくる。
なんかむかつく…!
仕返しにぺしっと軽く
諒くんの腕をはたいてから
朔くんのところに行って仕事をもらう。
その仕事をもくもくとやっていたら、
気づけば活動終了時刻になっていた。