欠けてるあなたが大好きです。

建物から出て再び歩き始める。


「次はどこ行くの?」


「カラオケかゲーセンかオレんち。」


「決めてなかったんだ?」


「咲雪が好きなこと知らねーもん。

 で?どこにする?」



「諒くんのおうち、ここから近いの?」


「歩いて10分くらいだな。」


「え、金持ち…?」


だって今いるのはわたし達が住んでる地域で

都会と呼ばれるところ。


そこから近いって高そうだよね。



「いや、別にふつー。」


「諒くんのおうちいってみたい!」


「ん。」


手を繋いだまま歩いていく。



暑いね、とか他愛のない話をしながら。





「ついたぞ。」


「…マンション?」


「そ。」


慣れた様子で自動ドアのロックを解除して中に入る。



エレベーターに乗って4階で降りる。



「どーぞ。」


「お邪魔します…!」


パンプスを揃えて諒くんのおうちに入った。



諒くんは入って右手のドアを開ける。



「ここ、オレの部屋」



「…今誰もいないの?」


「あぁ。みんな仕事。」


ピッとエアコンをつけて部屋を涼しくしてくれる。



諒くんの部屋は

紺色の家具が多いシンプルな部屋だった。



「お茶入れてくるわ。

 テキトーに座ってて。」

と言って部屋から出ていく諒くん。



テキトーにって、どこに座ったらいいんだろ?


座れるところと言えば、

ベッドかカーペットの上か勉強机のイスくらい。


でも勉強机のイスは1人しか座れないし

絶対ないよね。



じゃあベッドかカーペット?




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