欠けてるあなたが大好きです。
制服を着た女の人がたくさん並んでいる行列をよそに、
店員さんに声をかける。
すぐにお店の2階にある1番奥の個室に案内され、
中に入るとイブさんがパンケーキを食べていた。
…食べていた?
人を呼んでおいて先に食べちゃうのか…。
「咲雪ちゃ〜ん?顔に出てるぞー。」
「へっ!?」
慌ててイブさんの向かいに座りながら顔を触る。
表情を操れるサイコが幼馴染ってことは、
この人も意外と表情を"見る"ことが
できるのかもしれない。
そんなことを思いながら、
テーブルに並べられた食べかけのパンケーキを見る。
食べ終わったと思われるクリームのついた皿が2枚と、
食べ始めたばかりと思われるパンケーキがのった皿1枚。
「咲雪ちゃんのは頼んであるよ〜。」
「これ、試作品かなにかですか?」
「おー、よくわかったね!」
「さすがに意味もなくパンケーキ3枚はきついかなって…。」
クリームがついてるってことは
しっかり甘いものだっただろうし。
先程案内してくれた店員さんが
パンケーキを持ってきてくれる。
「わぁ〜!」
ほんのりピンクのクリームと
輝かんばかりのいちごがたくさんのっている。
「咲雪ちゃんのために考えたやつなんだよ!」
「ありがとうございます…!」
sw-sw-sweetの3大人気パンケーキにある
ベリー×ベリーパンケーキと似ていてるけれど、
これはストロベリーであるいちごしか使われていない。
ラズベリーとかブルーベリーとかも好きではあるけど、
酸味が強いからわたしはいちごが1番好き。
どこでそのことを知ったのか知らないけど、
あんまり気にしないで一口頬張る。
「おいし〜♡」
「ありがと〜!」
イブさんがきらきらした笑顔を見せる。