欠けてるあなたが大好きです。

「あ、そうだ。咲雪ちょっと来て。」


諒くんに呼ばれて諒くんと水谷くんの近くに行く。



水谷くんは白いふりふりの衣装にレースを縫い付けていた。


…それでなくてもふりふりなのに。




「水谷から咲雪にお願いがあるんだと。」


「お願い…?」


「当日本番の接客は語尾に

 "にゃん"でお願いします…!」



「…え?」


「おもしろそうだな、それ。」



「無理無理無理!

 ふりふりな衣装着るのも嫌なのに!

 にゃんなんて言ったら

 絶対イタイ子になっちゃうじゃん!」



「しかし中園さんが徹底的にやらなければ

 実行委員長の名折れになります!

 それに中園さんのコスプレに期待している人は

 大勢いるんですから…!」


「それでも嫌だ…!」



「オレは咲雪のにゃんにゃん接客

 見てみたいけどなー?」


「諒くんまで言うの…!?」



味方がいない…。



きっとイベント大好き組の

琉奈ちゃんと明日香ちゃんに言っても意味がない。


むしろ逆効果だ。



かといって朔くんにみんなを止める力はないだろう。


いっつもいじられてるし。


押しに弱そうだし。



…ってそんなこと考えてる場合じゃなかった!



「とにかく嫌なもんは嫌なの!」



「…中園さんがそう言うなら諦めます。」


しゅんと水谷くんがうなだれる。



なんか申し訳ない気持ちになる…。


でもこれは譲れない。



「…まぁいいや。咲雪、仕事するぞ。」


「はーい。」



諒くんと一緒に残り少なくなった準備に取りかかった。




< 290 / 357 >

この作品をシェア

pagetop