欠けてるあなたが大好きです。
お昼頃になって、諒くんに呼ばれる。
「テストすっから付き合ってー。」
「わかった。」
ほぼほぼ完成に近い装飾が施された教室に入る。
「いらっしゃいませー!何名様ですか?」
「2人です。」
「ではこちらの席にどうぞ!」
最初のテストは琉奈ちゃんだった。
持ち前のコミュ力と明るさを武器に
スムーズに接客してくる。
いつの間に着替えていた衣装は
鮮やかなコバルトブルーのワンピース。
アオザイに近いデザインですごく大人っぽい。
頭には垂れたうさぎの耳がついている。
うさぎってかわいいイメージだから、
かっこいい外見の琉奈ちゃんには
似合わなさそうなのになぁ。
しっかり着こなしてるあたり、美人は得だなと思う。
「ありがとうございましたー!」
一通りの接客を終えた琉奈ちゃん。
「さゆ見て!超かわいくない?」
「どうしてうさぎ?
水谷くんセレクト?」
希望の動物がなければ
水谷くんの独断と偏見で決められる。
わたしが猫なのもそれによってなんだ。
「ギャップ萌えを狙ってみた!
これで彼氏ができる!」
さゆは誰かさんに取られちゃったし、と
諒くんの方に目をやる琉奈ちゃん。
わたしもつられて同じ方向を見ると、
その諒くんは紙に何かを書いていた。