欠けてるあなたが大好きです。
「はぁ…。」
軽く見てた。
もうちょっと普段着なイメージだった。
最初に着せられた既製品の服より
ふりふりで豪華になってるとは思ってなかった。
…諦めて承諾したわたしが悪いけど。
途中で確認しなかったわたしが悪いけど。
「絶対服が浮く…。」
誰に言うわけでもなくつぶやいて、
白いワンピースに着替え始めた。
「お待たせしました…?」
着替え終わって教室に入る。
入った瞬間、
みんなからかわいいって言われたけど、
すごく恥ずかしい。
言われてるのもお世辞だってわかってるしね。
諒くんを見つけて駆け寄る。
「お姫様みたいな服だな。」
「そういう諒くんこそ王子様みたいだよ?」
ベージュに近いキャメル色の布が
ベースに使われたいかにも王子様!って感じの服。
きらきらした装飾がたくさん使われているけど、
予算どーなってるんだろう…?
わたしのも結構な値段かかってそうだけど
諒くんのも相当使ってそう。
地毛にしては明るい茶髪の中には
同じ色の丸い耳がついている。
「くまさん?」
「そーそー。がおー。」
うっわぁ…。
かっこよすぎる。
かっこよすぎて逆に引いちゃう。
この人と並んでたらわたしの存在感ゼロになりそう。
冗談じゃなくてほんとに。