欠けてるあなたが大好きです。

2次元の世界から出てきたみたいな諒くんが

周りのみんなに言う。



「じゃあサクと水谷、客役やってー。」


「了解であります!」


「役得だー!」


2人とも上機嫌。



諒くんのかっこよさは異性も虜にしちゃうのかな?




「オレ先にやるわ。咲雪見てて。」


「わかった。」



諒くんは朔くんと水谷くん相手に

いつも見てるフレンドリーな敬語の接客をし始める。



細かいところまで目を配って先回りした対応は

さすがとしか言いようがない。




「ありがとうございましたー。

 っとこんなもんだな。

 接客班これくらいやってくれないと怒るぞ?

 …じゃあ咲雪の番な。」


諒くんの後ってやだなぁ…。



いつもと同じ接客じゃ諒くんと変わらないどころか

諒くんの下位互換だし…。



どうにかして諒くんとは違う何かを見せないと…。




「咲雪?ほら。」


接客しないわたしを急かす諒くん。





ええい!こーなったら!



「いらっしゃいませにゃん!

 こちらのお席にお願いしますにゃん!」


朔くんと水谷くんだけでなく見ているみんなが

驚きの表情を浮かべる。



だって諒くんの下位互換なんて絶対やだったんだもん!


わたしだって何かみんなのお手本になってみたいよ!




開き直って接客を続ける。


「ご注文はお決まりですかにゃ?」


「…。」


「中園さんやってくれないのでは…?」



「おすすめはいちごパンケーキにゃあ!」


早く終わりたいから早く注文してよー!


そんな念を込めておすすめをしてみる。



「じゃあそれでお願いします。」


「かしこまりましたにゃん!」


一旦調理スペースに行ってすぐ戻ってくる。



パンケーキはないからエアーでお皿を置くふりをする。



「お待たせしましたにゃ!

 いちごパンケーキになりますにゃん!」


食べたフリをして教室から2人が出ようとする。



「ありがとうございましたにゃ!」


ぺこっとお辞儀して言った。




終わった〜!



なぞの達成感を胸にクラスのみんなの方を見ると、

全員がぽかんとしていた。


諒くんを除いて。



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